凛として

小迫正実(Masami Kosako)個人のブログです。

仕事で大切にしたこと :岩瀬大輔さんの著書「直感を信じる力 人生のレールは自分で描こう」を通して考えてみた

そろそろ年の瀬です。
今年は、いろんなことがありました。
前職では、初めてプロジェクトのマネージをしました(先陣を切って旗を振ったということです)。詳しいことはかけませんが、自分より年上の人達を率いて、羊飼いのようにマネジメントしていく経験ができました。
プロジェクトのあと、転職活動をしました。転職終了後の引き継ぎを通して、多くのことを学びました。
7月には、ITの企業に転職しました。
 
前職での、羊飼いのようなプロジェクトマネジメント。
転職後の、引き継ぎ。
転職してからの、振る舞い。
以上3つについて、岩瀬大輔さんの著書「直感を信じる力 人生のレールは自分で描こう」を読んでリンクする部分があったので、その本を抜粋しながら振り返ってみます。
 

 
 
前職での、羊飼いのようなプロジェクトマネジメント。
 
前職では、なにをやっても一番若手でした。専門職種が集まる医療業界で、マネジメントスタッフとして雇用されていた私は、プロジェクトを成功させることが仕事でした。若手「だけど」全員を束ねなければいけない。目標達成のためには、犠牲も払う覚悟で望む。そんなプロジェクトでした。
 
そのプロジェクトに関して、とにかく時間がなかったので、先に先にアポイントを入れて多くの人とプランを練りました。「何を」「いつまでに」「どうする」。それが決まると進捗を確認し、できない部分や足りない部分は、積極的に自分が手を動かす。
相手の仕事にドカドカと土足で入り、勝手に手を出してしまう。そのスタイルが正しかったのか自信がありませんでしたが、岩瀬さんの本の中で次の2つの文章を読んで、やっと肩の荷がおりました。
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p.16
経験が少ない若手としてチームの役に立つにはとにかく足で稼ぐしかないと考え、工場や問屋、幹線道路に位置する作業服店などを歩き回った。リードタイムが必要なアポ取りは前倒しで、こちらの準備が万全でなくともまずは電話をかけまくって日程を確定させることにした。
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p.80
仕事でもなんでもそうなんですが、何かウルトラCのような離れ技があるわけではなくて、小さな当たり前のことを丁寧に実行できるかできないかの違いだと思うんです。
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プロジェクトも終盤になってくると、もはや自分一人では手に負えない状況でした。席の近くの先輩や後輩が、夜遅くまで資料作りを手伝ってくれました。
地道な作業とは別に、プロジェクトとして「なにが正しいのか」を説いて回る仕事もありました。肉体的にしんどいなかで、精神を強く持ち、人を鼓舞することがいかに難しいか身にしてみて感じました。
当時はわかっていませんでしたが、人を鼓舞すること、それがリーダーシップなのだと下記の文章から知ることができました。
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p. 124
一言でいえば、マネジメントが複雑さに対処するものであるのに対し、リーダーシップは変化に対処するという役割の違いがある。
マネジメントは計画と予算を策定し、それに最適な組織編成と人員配置を行い、統制して問題解決を行うことで、既存のシステムを動かし続けることだ。これに対して、リーダーシップとはビジョンと方向性を示し、人心を統合し、彼らを動機づけ、触発することで、変革と推進するために必要なエネルギーを爆発させることである。
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転職後の、引き継ぎ。
 
上記のプロジェクトを終え、自身に足りないのは何かしらの専門知識であることに気が付きました。専門が自分に備わってないのと同時に、医療業界として足りないものは何かを考えました。
命を扱う現場で、「効率的に」と発言することは非常に嫌われることかもしれません。嫌われてでもやりとげなければならないこともありますが、嫌われずに効率化することが業界全体に必要だと感じました。
そして、「ITを用いて医療業界をよくしていきたい」という想いのもと転職活動をし、7月には転職するに至りました。
 
転職する際に、心残りがあります。引き継ぐ方へ、ドキュメントの整理がうまくできていなかったことです。自身の役割を考えると、岩瀬さんの言う下記の2つをもっと意識するべきでした。
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p.43
また、リーダーは指揮官だけであってはいけない。常に遠くまで見渡し、うまく行かない場合まで含めて想定する、戦略家である必要がある。方向性を示すだけでなく、どのようにしてそこにたどり着くのかということも、ある程度は道筋を考えなければならない。
それと同時に、継続的に組織を成長させていくための教育者でなければならない。自分ができることを下の人もできるように、指導していかなければならない。
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p.89
常々思うのだが、人の長所も短所も、努力したからといってそう変わるものではない。だとしたら、そのような自分の特性をよく理解した上で、仕事を進めるにあたり、自分なりの「勝ちパターン」を作っていくことが大切なのではないだろうか。
もっとも大切なのは、自分がどのような状況下であれば力を最大限発揮できるかを知ることだろう。
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組織がうまくいくために、ドキュメントを仕組み化し、誰もが見てもわかるシステムにするべきでした。仕事はひとりが短期的に行うものではありません。ひとつひとつプロジェクトが終われば、まとめを行い、振り返ったときに道がきちんと見えるように整えておくべきでした。
後悔をあまりしないタイプの私ですが、仕組み化せずに次にバトンを渡したことは無責任だったと思ってます。
 
 
 
転職してからの、振る舞い。
 
7月に転職しました。「医療業界でプロジェクトマネジメントをしてたやつ」。これが僕のイメージでした。
外様を受け入れてもらうには、シンプルなメッセージがあったほうがいいと常々思っています。
医療業界+プロジェクトマネジメント。
実にシンプルでした。
人というのは、印象で他人を評価してしまうことが多いと思っています。自分を商品と見立てて、売り込んでいくことが大切だと思っていたので、p163の文章には驚きました。
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p. 163
これまでの生命保険のあり方に対して、ライフネット生命はそれと反対のことをやった。
商品が複雑でわかりにくいから、シンプルで分かりやすくした。
価格については、多くのことが消費者から見てブラックボックスになっているので、手数料の内訳を含めて開示して、透明性を高めた。
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転職してきた私が、即戦力として唯一できることがありました。仲間の仕事を客観的にみて、本質を見極め説明することです。技術的なことがわからない、と逃げるのではなく、あえて一歩引いて見る。ステークホルダーの話をクリスタライズすることを、初めの2ヶ月は自分の仕事だと思い、耳をかっぽじって人の話を聞いてました。
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p. 174
説明資料を準備する段階で、想像を働かせるべきだ。いまから自分が説明しようとする相手には、この状況はどのように映っているのだろうか、と。彼の席に座り、彼のメガネをかけて世界を見つめたら、どのように見えるだろうか、ということを。
説明が上手い人が持っている資質は、二つ。物事の本質、結晶化されたエッセンスを捉える能力があること。そしてそれを相手が理解できることがによって伝えられること。
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人の話を踏まえて、ステークホルダーそれぞれの立場にたって説明できるようになる。ただそれだけですが、それを丁寧にやるだけで、話を前に進めることができました。
 
 
 
岩瀬さんの本を用いて、自分の今年をこじつけながら振り返ってみました。
まだまだですが、まあ良い人生だな、とも思います。
 
12月も精進します〜。